電気情報工学大系                                                2005年度

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科目名:電気情報工学大系(英文科目名:Conceptual View of Electric-Computer Engineering)

    2単位 選択 電気情報工学科1年 通年 講義+演習

担当教官:石原 学(居室:電気・物質棟2階)

授業目的

今日、情報技術の発展により電気工学と電子工学の分野は、その区分が明確でなくなり、互いに融合した一つの技術体系を形成している。このような状況でも、全ての技術は電気・電子に関する基礎理論に支えられている。本講義では、電気・電子・情報工学分野の各の視点から、その技術体系を概観しながら、電気電子の基礎理論について学ぶ。また、月に一回程度、各分野の興味深い話題を専門の先生方に講義して頂き、電気電子情報分野の先端的技術に興味を持たせ事を目的とする。

達成目標

1. 電流が作る磁界の様子を描き、直線電流・円電流による磁界を求めることが出来る事

2. 電動機(モータ)と発電機の原理を理解できる事。

3. 静電気現象について理解し、点電荷に働く力を求められる事。

4. 平面電荷による電界と電位を求め、コンデンサの静電容量を求められる事。

5. 直流回路における、合成抵抗、電流の計算方法を会得する。

6. 回路網の基本法則(キルヒホッフの法則・重ねの理・テブナンの定理)を用いて、

複雑な直流回路に流れる電流を計算できる事。

7.交流発生の原理を理解し、交流を表す式とその物理量を理解できる事。

8.RL回路、RC回路に流れる電流・両端の電圧を求めることが出来る事。

 

教科書

  伊里正夫「電気・電子概論」実教出版(1998

  増田英二、他3名共著「トレーニングノートわかりやすい電気基礎」コロナ社(2003)

参考書

  電気・電子工学の入門書(書籍店で自分で探すのも勉強の内)

学習方法

 ○予習−毎回の授業の終わりに、次回の授業内容のoutlineを告げ、予め教科書を読んで、分からないところを把握しておく。

 ○授業−講義内容と黒板の内容をノートに整理して理解する。疑問点を質問する。授業内で行われ演習について解答する。

 ○復習−授業での内容を反復学習し、授業中に出題された演習に全て解答出来なかった場合は、その解答を完成させる。

 

キーワード

 磁気に関するクーロンの法則、磁界、右ネギの法則、電流ループに働くトルク、電磁誘導、静電気、静電誘導、クーロンの法則、電界、電位、導体、コンデンサ、キルヒホッフの法則、重ねの理、テブナンの定理、交流、実効値、RL回路、RC回路

授業内容

0.プロローグ(1週:講義)−電気・電子・情報工学、電気情報工学科の教育課程−

1.     磁気と静電気(14週:講義と演習)

 1.1 磁気現象(地磁気の発見、磁気のクーロンの法則、磁界と磁束密度:3週)

 1.2 電流による磁界(右ねじの法則、周回路の法則、ソレノイド中の磁界:2週)

 1.3 電磁力とモータ(電流力、コイルの回転力、モータの原理:2週)

 <前期中間試験>

 1.4 電磁誘導とダイナモ(ファラディの法則、直線導体に発生する起電力、インダクタンス:3週)

 1.5 静電気と電界(帯電現象、クーロンの法則、静電誘導、電界と電位、コンデンサ:4週)

 <前期末試験>

2章 直流回路(10週:講義と演習)

 2.1 電気回路(直流と交流、導体と不導体、電流、電気回路:3週)

 2.2 オームの法則(導体を流れる電流、電圧降下、電池・抵抗の接続法:3週)

 2.3 複雑な電気回路の計算(キルヒホッフの法則、テブナンの定理、重ねの理:2週)

 <後期中間試験>

 2.4 抵抗の性質(抵抗率・導電率、抵抗の温度係数:1週)

 2.5 電流の熱作用と電力(電気エネルギー、電力量、許容電流、熱電効果:1週)

3章 交流回路(5週:講義と演習)

 3.1 交流の基本的性質(交流の発生、周波数・周期・位相・実効値:1週)

 3.2 コイル・コンデンサに流れる電流(2週)

3.3 交流回路のインピーダンス(2週)

 <後期末試験>

 <講演:最近の情報工学の話題、レーザ計測の話、新エネルギーの話、新製品開発の話など>

授業方法

  基本的に、講義を中心に授業を進め、毎回の授業の終了前15分程度で、演習問題を解答させる。 

  複雑な内容・図などが出る場合は、プリントを配布して、学生の板書に掛かる負担を軽減させ、授業時間中において、講義内容について考える努力をさせる。

  なるべく質問が出るよう促し、質問のない場合や、居眠りしている学生がいる場合は、教官から各学生に質問する。

  欠席による学習の遅れなどは基本的には学生が自分で努力することを求めるが、理解度が著しく悪いと判断した場合は、演習課題を与えたり補講を行うなどの手当を行う。

カリキュラム中の位置付け

  電気情報工学科の専門科目の基礎をなす科目であり、その授業内容を理解していない場合は、2年次以降の専門科目を学ぶことに支障を来す恐れが高い。従って、全学生が一定の基準以上の理解度と問題解答能力を身につけることを望む。

この科目を学ぶために先行して理解する必要のある科目

  数学(ベクトル和と差、正弦・余弦の知識)、理科(力と運動、仕事)、等の知識があるのが望ましいが、それら知識がないことを前提に授業を進める。

この科目と同時に学ぶ関連科目

  物理、基礎数学

この科目の後に学ぶ関連科目

  電気磁気学T、電子情報工学、電気回路学(以上2年次)、電気磁気学T、電気回路学(以上3年次)、電気磁気学U、電磁波工学(以上4年次)、電磁伝送工学、電磁環境工学、電磁エネルギー工学(以上5年次)

評価方法

 定期試験70%、その他、授業中に行う「実力試験」や授業中の課題等30%。

試験で正解できなかった箇所については、必ずレポートとして提出させる。

 プレゼンテーション形式の評価も実施したい。

定期試験実施方法:通常の形式で行い、原則として筆記用具以外は使用を禁ずる(電卓も使用不可)。

連絡事項

  授業内容について随時質問に応じる。電子メールでも可。

学生へのメッセージ

本講義により、今日の電気電子工学の発展は、確立した理論体系により支えられる事を知り、更に技術者が如何に自然法則を応用してテクノロジを作り上げたかその賢さを実感して欲しい。同時に近い将来この分野に携わる諸君が、新世紀における種々の課題を認識し、国際的視野に立つ総合的な技術力を持とうとする動機付けになる事を期待する。

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